一般に、ドングリはへその中心から首に至るまでの直線を軸にした楕円体に近い形状をしています。このようにきれいな形をしているのは、種子散布の担い手である鳥獣達による移送の利便性に配慮して、ドングリ自身が進化を遂げた結果ではないでしょうか。一方、シンメトリックな美しい形をしたドングリの中にあって、捩れたり、部分的に膨らんだ変形ドングリは少しばかり異色の存在です。
セクション3-2-1で紹介した変形ドングリ “ 変形くん ” は、多果として発現して、最終的に1つを除く他の堅果が退化消滅したことによって生じたものですが、他にも様々な要因でドングリは本来の姿から大きく歪むことがあります。このセクションでは、美しいドングリとは真逆のちょっぴり不細工で愛嬌のある変形ドングリ達の素性に迫ります。
一つのドングリが複数の種子を包含することによって生じる堅果の変形
タマバチが寄生することによって生じる堅果の変形
果軸上にドングリが密集することによって生じる堅果の変形
堅果との境目にある殻斗の構造欠陥によって生じる堅果の変形
奥行の浅い殻斗の形状がもとで生じる堅果の変形
殻斗の元になる器官が分裂することによって生じる殻斗、堅果の変形
堅果に対して殻斗が異常成長することによって生じる殻斗の変形
殻斗の内側に鱗片が侵入することによって生じる殻斗、堅果の変形