15. 究極の多果ドングリを求めて

 多果ドングリ(*)とは、殻斗の元になる器官に咲いた複数の雌花が結実したもので、1つの殻斗の中に複数の堅果を包含した奇妙な形をしています。
   * セクション3-1を参照願います。
 中生代の白亜紀から新生代にかけて、ブナ科の祖型からコナラ亜科とクリ亜科が分化したばかりの頃には、コナラ属でも1つの殻斗の中に3個の堅果をもつ多果が普通に存在していました。しかしながら、コナラ属が誕生してから長い年月を経て殻斗の元になる器官に咲く雌花の数が退化減数し、現在では殻斗の元になる器官に咲いた1つの雌花が結実した単果が、コナラ属の標準的なドングリの形態になっています。

 このように、現在ではあまり目にすることがなくなった多果ですが、2007年に私は変形ドングリ ” 変形くん ”(**)に見られる多果の発現した痕跡を基に、コナラ属でも1つの殻斗に少なくとも6個の堅果を包含した多果が存在する可能性を予言しました
(**)。それ以来、様々な角度から調査を続けてきた結果、遂に4〜6果の実物を探し出すのに成功したのです。
 このセクションには、他では決して見ることが出来ない貴重なデータや写真が満載です。ドングリに興味のある方は、ぜひ一度ご覧になってみて下さい。
  ** 変形ドングリ “ 変形くん ” については、セクション3-2-1を参照願います
15-1. 変形ドングリに見られる多果の痕跡
15-2. 4果以上の多果の探索
15-3. 4果の形態のバリエーション
15-4. 5果の形態のバリエーション
15-5. 6果の形態のバリエーション
15-6. 4果以上の多果の雌花と幼果

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