通常、マテバシイ属の雌花序は、花軸（果軸）上に孤立した状態で分布しますが、稀に２つの雌花序が近接したものを目にすることがあります（図32-1-B参照）。

　ただ、この図にある２つの雌花序は互いに密着するぐらい近接していますが、合着していません。異なる殻斗が合着するには、少なくとも雌花序同士が合着（殻斗の元になる器官が合着）しなければなりませんので、この図の近接した雌花序は成長しても互いの殻斗は合着しませんでした。

　このセクションでは、２つの雌花序がこの図の状態よりもさらに近接して、合着したものについて取り上げます。但し、雌花序同士が合着したからといって、必ずしも互いの殻斗が合着するわけではありませんので、結果的に殻斗が合着した場合としなかった場合の代表的な事例を分けて詳解します。

32-1-1.　殻斗が合着しなかった事例

32-1-2.　殻斗が合着した事例