コナラの粃(しいな)
珍品度 : ★★★★★
マテバシイ属やシイ属のドングリではごく普通に見られる粃ですが、文献を見ると、コナラ属のドングリに粃は無いそうです。確かに、一般の個体で粃を目にすることはないのですが、以前春から秋にかけて開花を繰り返すコナラで、私は大量の粃の発現を目撃しました。
コナラの中には、通常の花期(春)以外にも、夏〜秋にかけて開花する個体が相当数ありますが、それらの中には、開花に関して類似した生態を有する個体でも滅多に見られない特異な形態の花序を不定期に発現するものがあります。私が見つけた粃も、そういう特殊な個体で見つけました。
その個体で粃が発生した年には数100個も採集しましたが、当時はコナラ属における粃の稀少性を認識しておらず、一部を知人にあげて、残りの大半を廃棄してしまったので、現在手元に残っているのはここに展示している30個だけです。同程度の大きさの十分に乾燥させたコナラの堅果が1個当り1.5〜2gなのに対し、粃は0.3〜0.4gしかないので、掌に載せてもドングリを持っているような気が全くしません。
(本件に関連のある記事)
・ セクション 8 雑記182 : 不稔のドングリ