ウバメガシの多果が結実した超絶長い果軸 (4月開花、翌11月結実)

珍品度 : ★★★★

 
 通常の花期(4〜5月)に咲くウバメガシの花軸は、長さが10mmに満たないものが普通です。一方、ウバメガシの中には通常の花期に開花した後、再び8〜10月に開花する個体があり、その時期に咲く花軸には同種とは思えないような長いもの(〜40mm)が出現します。但し、そのような花軸にドングリが結実することはありません。

 ここに展示している果軸は、不定期に多果を発現する特定の個体から採集したものです。通常の花期に咲いた花が結実したものですが、それにしては果軸の長さが20mmもあります。しかも、結実したドングリの中には、ウバメガシとしては大変珍しい多果も含まれています。

 
 これらの果軸は、太古の昔の形態を現代に再現したと推測される季節外れ
の開花によって出現した果軸と、現在我々が普通に目にする果軸のちょうど中間的な形態をしています。コナラ属の果軸が、誕生した時から現在に至るまでに縮小化の傾向にあることを裏づける重要な物証の一つであると私は考えています。
(本件に関連のある記事)
・ セクション 22 季節外れのドングリの花 2項(ウバメガシ)

・ セクション 30-2 花軸の縮小化 4項(ウバメガシ)