2つの雌花序が合着したマテバシイのドングリ(殻斗合着)
珍品度 : ★★
マテバシイの殻斗は、普通1〜3個の殻斗が合着したような形をしていますが、単体でも3個が合着したように見える殻斗でも、果軸との接合面積を比べるとほとんど差はありません。ところが、稀にこの接合面積が同じ果軸に着いた他のドングリよりも明らかに大きいものが存在します。私はそれらのドングリの成長過程をトレースした結果、同じ花軸に咲いた複数の雌花序が合着したものであることが明らかになりました。
異なる雌花序が合着しても、普通は両者の殻斗が合着することはありませんが、例外として異なる雌花序を構成する雌花同士が合着、もしくは合着しないまでも極端に近接した場合のみ両者の殻斗は合着します。
ここに展示しているものは、いずれも2つの雌花序が合着して、それぞれの殻斗が合着したドングリの例です。1は雌花序1と雌花序2を構成する3つの雌花の中で、それぞれ1つずつが合着した結果、両者の殻斗が合着したものです。一方、2は雌花序1と雌花序2を構成する3つの雌花の中で、それぞれ1つずつが極端に近接した結果、殻斗が合着したものです。
(注)
このHPの中で繰り返し述べていますが、私はマテバシイ属の殻斗が複数の殻斗が合着して構成されたものだとは考えておりません。なぜなら、私のこれまでのフィールド調査において、マテバシイ属の殻斗が合着したものでないことを示唆する事象なら数多く目にしてきましたが、その逆は現在に至るまで皆無だからです。
(本件に関連のある記事)
・ セクション 8 ドングリ雑記 カテゴリー(マテバシイ)
・ セクション 25 ドングリの形態からみたブナ科の系統 @項(マテバシイ属の取扱いについて)
・ セクション 32 擬似多果ドングリの世界 1項(マテバシイ)