二年成から一年成に転換した二つ目の事例は、摂津伊丹廃寺跡地 [ 所在地 : 兵庫県伊丹市 ] の個体で見つけました。この個体は、例年4月上旬に開花し、翌年の9月中旬〜下旬頃に結実しますが、4月に咲く花の内、セクション31-3-1の個体と同様に多い年には半数以上が年成のルールを無視して異常成長します。図31-3-2-1〜図31-3-2-3は、2024年の4月に咲いた3つの雌花序が、同年の11月半ばにほぼ同時に結実した時の樹上の様子を撮影したものです。
図31-3-2-1と図31-3-2-2の一年成の果実には、若干緑色の部分が残っていますが、この写真を撮影した日から数日後には完全に熟すと思われますので、通常の二年成の果実との結実に至るまでのタイムラグは、およそ二ヶ月と考えられます。
一方、図31-3-2-4は、図31-3-2-2の果実が着いた枝を採取したものです。二年成の落葉樹には見られない普通葉が果軸の腋に見られることや、果軸のある枝の後方にも旧枝には見られない側芽が立っていることから、この果実が一年成であることは間違いありません。また、殻斗から脱落した堅果の重量を測定したところ、二年成の果実が5〜7gに対し、一年成は5.5gだったので、年成の違いによる成長期間の長短は、結実した堅果の形態や重量には影響しないようです(図31-3-2-5参照)。
さらに、これら3つのドングリを土に蒔いた結果、3つの内の2つが結実した翌年の3月に発根しました。二年成から一年成へと成長期間が大幅に短縮されても、種子としての機能に問題はありませんでした。