二年成から一年成に転換した最初の事例は、西神中央公園 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] の個体で見つけました。この個体は、例年4月上旬に開花し、翌年の9月中旬〜下旬頃に結実しますが、4月に咲く花の内、多い年には半数以上が年成のルールを無視して異常成長します。図31-3-1-1は、2021年の4月に咲いた雌花序の1つが、同年の10月に結実した時の樹上の様子を撮影したものです。
この果実は、10月上旬の時点で二年成のものと同等のサイズにまで成長しましたが、殻斗に包含された堅果は未だ色づいていませんでした。殻斗から露出した堅果の状態や殻斗の鱗片の変色状態から、10月20日頃には熟すと推測されるので、通常の二年成の果実との結実に至るまでのタイムラグは、およそ一ヶ月と考えられます。
一方、図31-3-1-2はこの果実が着いた枝を採取したものですが、二年成の落葉樹には見られない普通葉が果軸の腋に見られることや、果軸のある枝の後方にも旧枝には見られない側芽が立っていることから、この果実が一年成であることは間違いありません。また、殻斗から脱落した堅果の重量を測定すると、二年成の果実が4.5〜5.6gに対し、一年成は5.2gなので、年成の違いによる成長期間の長短は果実の成長には影響しないようです(図31-3-1-3参照)。