第5ステージ

新枝の上方に穂状の雌花軸、下方に穂状の雄花軸が分離して現れる

(花序の特徴)

1. 新枝に、主に雌花から成る雌花軸が上方に、主に雄花から成る雄花軸が下方に分かれて立つ。

2. 花には、雄蕊と雌蕊をもつ両性花(両性形態の花)や、殻斗の元になる器官に複数の雌花が咲いた多果形態の雌花が混在する。

 普通葉が出現した花軸専用の新枝に立つ穂状の花軸の中で、雌花軸が新枝の上方に、そして雄花軸がその下方に集結したものをウバメガシで確認しています。

 図30-5-1〜図30-5-2は、新枝の上方に両性花を含む雌花軸、そして下方に両性花を含む雄花軸がある例です。上方にある雌花軸と下方にある雄花軸の中間に位置する花軸には、たくさんの両性花が見られます。

 
 一方、図30-5-3〜図30-5-4は、新枝の上方に両性花を含まない雌花軸、そして下方に両性花を含まない雄花軸が集結した例です。雌花軸がやや長くて数が多い点や垂下した尾状ではなく穂状である点を除けば、現在のウバメガシの新枝と基本的な構造がよく似ています。

 
 太古の昔の花序に大量の両性花が含まれているのは、花序の形態や配置を最適化する上で非常に便利だったからではないでしょうか。特に、新枝の上下に雌雄の花軸を分離して配置するには、雌雄の転換が可能な両性花の存在が不可欠だったと考えられます。