5. スダジイ ( Castanopsis sieboldii
 開花期

 通常、スダジイは5月〜6月に開花します。ところが、5月〜6月に開花した後、9月〜11月に再び開花する個体が存在するのです(図22-5-1参照)。

 マテバシイについては、特定の地域で同じような環境下に植栽された400体余りの個体を対象に調査した結果、全体の3%以上の個体で9月〜11月に開花を確認しました。スダジイについては、マテバシイのように厳密な調査を行っていませんが、京阪神の随所で目撃した開花状況から推測すると、おそらくマテバシイと同程度の比率で秋咲の個体が存在することが予想されます。

 9月〜11月の開花の様子は個体によって異なりますが、樹頂付近に集中している場合が多いので、注意深く観察しないと開花していることに気づきません。

 花序形態
 9月〜11月に咲く花は、通常のものと比べて外観上は全く同じで、5月〜6月の開花後に茎頂に出来た冬芽から、8月以降に伸長したラマスシュート(*)に付随した形で出現します。
* ラマスシュート : 開花後に茎頂に形成された冬芽から、休眠期間をおかずに新たに伸長したシュート

 果実期
 スダジイは2年成なので、5月〜6月に咲いた花は翌年の9月〜11月に実を結びます。マテバシイの場合、同じ個体で5月〜6月に咲いた花と9月〜11月に咲いた花が結実する時期を比較すると、後者には約半月〜1ヶ月程度の遅れが生じますが、スダジイの場合はほぼ同時期に成熟します。

 スダジイの場合、9月〜11月に咲く花は5月〜6月に咲く花に比べて不稔のものが目立ちます(図22-5-3参照)。稀に実を結んでも、せいぜい1本の果軸に1個程度です(図22-5-4参照)。理由は判りませんが、この傾向は私が目撃した全ての個体に共通します。


 果実形態

 9月に咲いた花の果実の断面を見ると、内部にはちゃんと種子が形成されています。同じ個体から採集した5月に咲いた花の果実と比べて、サイズや形状に大きな差は認められません(図22-5-5参照)。