コナラQuercus serrata )
 花期

 普通コナラは4〜5月に開花します(図22-4-1参照)。ところが、4〜5月に開花した後、11月にかけて断続的に開花する個体が少なからず存在します(図22-4-2〜図22-4-4参照)。

 
 5月以降も、4〜5月の開花と同様にたくさんの花を咲かせる個体がほとんどです(図22-4-5参照)。


 花序形態

 4〜5月に咲く花は、雄花軸と雌花軸が明確に区別出来ます(図22-4-6参照)。雄花軸は新枝の下方に垂下する長さ100mm程度の尾状花序です。一方、雌花軸は新枝の上方の葉腋に立つ長さ10〜20mmの穂状花序で、そこに1〜5個の雌花が咲きます。

 
 一方、11月にかけて咲く花は、4〜5月に咲くものとは全く形態が異なります(図22-4-7参照)。4〜5月に出現した新枝の冬芽(頂芽、側芽)からあらたに出現した新枝(普通葉を伴わない新枝もある)に長さが30mm前後の穂状の花軸が立ちます。但し、同じ花軸の中に雌花、雄花、両性花が併存するものも多数見られます。因みに、雌花と両性花は11月まで咲き続けますが、雄花は8月頃から咲き始めます。


 果期
 4月に開花した後、5月以降は断続的に開花しますが、5月中旬までに咲いた花の中には、4月に開花したものよりも半月から1ヶ月程度遅れて結実することがあります(図22-4-9参照)。この事から、基本的に活性な花粉が存在すれば、5月以降に開花したものでも結実する可能性は十分にあると考えられます。

 但し、それ以降に開花したものは、開花後3ヶ月程度で果軸ごと脱落し、結実することはありません。