ナラガシワ( Quercus aliena )
◎ 花期
普通ナラガシワは4〜5月に開花します(図22-3-1参照)。ところが、4〜5月に開花した後、7〜11月にかけて断続的に開花する個体が少なからず存在します(図22-3-2、図22-3-3参照)。
これまでに、京阪神の公園や緑地に植栽されている100体余りのナラガシワについて、7〜11月にかけての開花の有無を調査した結果、5%以上の個体で開花が認められました。
7〜11月にかけての開花の様子は個体によって様々で、4〜5月の開花時と同じぐらい満開のもの(図22-3-4参照)もあれば、ごくわずかの枝にひっそりと目立たない程度に開花するものもあります。
◎ 花序形態
4〜5月に咲く花は、雄花軸と雌花軸が明確に区別出来ます(図22-3-5参照)。雄花軸は新枝の下方に垂下する長さ100mm程度の尾状花序です。一方、雌花軸は新枝の上方の葉腋に立つ長さ10〜20mmぐらいの穂状花序で、そこに2〜6個の雌花が咲きます。
一方、7〜11月に咲く花は、4〜5月に咲くものとは全く形態が異なります(図22-3-6参照)。4〜5月に出現した新枝の冬芽(頂芽、側芽)からあらたに出現した新枝(普通葉を伴わない新枝もある)に長さ10〜50mmの穂状の花軸が立ちます(図22-3-7、図22-3-8参照)。但し、同じ花軸の中に雌花、雄花、両性花が併存するものも多数見られます。
◎ 果期
7〜11月にかけて咲いた雌花(もしくは両性花)は、直径が3mm程度の幼果に成長します(図22-3-9参照)。但し、開花後2ヶ月ぐらいで果軸ごと脱落してしまうので、結実することはありません。