2. ウバメガシ ( Quercus phillyraeoides
 開花期

 通常、ウバメガシは4月〜5月に開花します(図22-2-1参照)。ところが、中には8月〜10月に再び開花する個体が存在するのです(図22-2-2参照)。

 ウバメガシは京阪神の公園や緑地は勿論の事、住宅の生垣等にもたくさん植栽されていますが、これまでに8月〜10月の期間中に開花している様子を確認したのは、服部緑地公園 [ 所在地 : 大阪府豊中市 ] と山田池公園 [ 所在地 : 大阪府枚方市 ] にある計3体のみです。

 何れの個体も、通常の開花時には新枝を覆い尽くす程たくさんの花を咲かせますが、8月〜10月にはせいぜい10本前後の新梢に、僅かばかりの開花が見られる程度です(図22-2-3参照 : 黄色枠で囲んだ部分のみ)。


 花序形態

 4月〜5月に咲く花は、雄花序軸と雌花序軸が明確に区別出来ます(図22-2-4参照)。雄花序軸は茎から下垂する細長い尾状花序であり、雌花序軸は茎の先端付近にある葉腋から屹立する1cmにも満たない小さな穂状花序 [ 雌花序 : 1〜3個程度 ] です。

 
 一方、8月〜10月に咲く花は、通常のものとは全く形態が異なります(図22-2-5、図22-2-6参照)。それらは長さが2〜6cmの穂状花序で、そこには雌花序、雄花序、そして両性花序(*)が混在しています。ですから、通常の花序軸のように雄花序軸と雌花序軸を明確に区別することが出来ません。
  * 外観上、雄蕊と雌蕊のあるものを両性花と呼んでいますが、普通の両性花の様に、どちらも生殖機能を有しているかどうかは不明です。

 8月〜10月に咲く花の出現形態には2つのタイプがあります。1つは、通常の開花後に茎頂に形成された頂芽から、8月以降に伸長したラマスシュート(**)に複数本の花序軸が立ちます(図22-2-5 : タイプT参照)。もう1つは、同じく茎頂に形成された腋芽から、8月以降に普通葉を伴わない茎だけが伸長し、そこに複数本の花序軸が立ちます(図22-2-6 : タイプU参照)。
 これらの中で、タイプTの花序軸には雄花序、雌花序、両性花序が混在しますが、タイプUのものには雄花序しか存在しません。
** ラマスシュート : 開花後、休眠期間をおかずに茎頂に形成された冬芽から伸長するシュート

 果実期

 8月〜10月に咲いた雌花序(もしくは両性花序)は、翌年の4月頃まで順調に成長します(図22-2-7参照)。但し、これらの個体を毎年観察していますが、夏を迎える前に幼果は花序軸ごと全て脱落してしまい、その年の秋に実を結ぶ事はありません。