2. 合着/分離する堅果

 堅果統合型殻斗が包含する堅果には、2個の堅果がそれぞれ独立した分離型堅果と、合着して一体化した合着型堅果の2つのタイプがあります(図3-1-4-5参照)。両者の発現率を比較すると、多くの個体では前者のタイプが圧倒的多数を占めますが、後者のタイプが優勢な個体も少なからず
あります。

 これら2つのタイプの堅果が発生する要因として、殻斗の元になる器官に咲いた2つの雌花がどれだけ近接しているかが関与すると私は考えています。

 図3-1-4-6は、開花後1.5ヶ月が経過した2果の幼果の胴回りの切断面です。分離型堅果の場合は、2個の幼堅果の雌蕊(子房)を花被/花床に相当する部分が個別に包んでいます。一方、合着型堅果の場合は、2個の幼堅果の雌蕊を花被/花床に相当する部分がまとめて包んでいます。これは、2つの雌蕊の間に花被/花床に相当する組織が介在しない様子から明らかです。

 たぶん合着型堅果は、殻斗の元になる器官に咲いた2つの雌花が極端に近接した(あるいは密着した)ことで、本来は雌蕊を個別に包むはずの花被/花床に相当する部分が、2つの雌蕊を1つの雌蕊と見做して一纏めに包んでしまったことによるものと推測します
(*)
* セクション8の雑記126を参照願います。

 参考までに、私が考えている分離型堅果と統合型堅果の雌花序の構造を模式図にまとめておきます(図3-1-4-7参照)。