クヌギ(Quercus acutissima)
【 変形要因 】 多果の発現 (セクション3-2-1参照)

 図3-2-2-2-1は、クヌギの変形ドングリ “ 変形くん ” です。クヌギも他の樹種と同様に多果を発現しますが、残念ながらハッキリと目に見える形の多果ドングリに出会ったことは、これまで一度もありません。


【 変形要因 】 2つの種子の同時発現 (セクション3-2-3-1参照)

 図3-2-2-2-2は、2つの種子を包含したクヌギの堅果です。果皮の中に1つ余分な種子を収納しているせいで、堅果に大きな歪みが生じています。


【 変形要因 】 殻斗の構造欠陥 (セクション3-2-3-4参照)

 図3-2-2-2-3と図3-2-2-2-4は、殻斗と堅果を繋ぐ部分の構造的な欠陥によって誕生したクヌギの堅果です。後者については、堅果の捩れは前者ほど顕著ではありませんが、へそを起点とした鱗状の文様が果皮に現れています。因みに、この文様はクヌギとよく似たアベマキには見られない、クヌギに特有のものです。


【 変形要因 】 殻斗の内側への鱗片の侵入 (セクション3-2-3-8参照)

 図3-2-2-2-5は、鱗片が殻斗の内側に侵入して内壁を覆い尽くしたクヌギのドングリです。樹種によっては、鱗片が殻斗の内側に侵入したからといって、必ずしも堅果が変形するわけではありませんが、クヌギについては顕著な変形が認められます。


【 変形要因 】 不明

 図3-2-2-2-6は、樹上に結実したクヌギのドングリを撮影したものです。典型的なクヌギのドングリ [ 図中 (A)] といっしょに、細長い鱗片が萎縮したドングリ [ 図中 (B)] が見られます。同図の下段は、採集した(A)と(B)の堅果ですが、全く別の種類のものといっても過言ではないぐらい形態が異なります。残念ながら、どうしてこのようなドングリが誕生するのか、まだメカニズムは明らかになっていません。