3-1-3. 多果の形態のバリエーション

 シラカシは、コナラ属の中でもとりわけ高い頻度で多果を発現します(*)。但し、それらが結実することは稀です。兵庫県三田市にの深田公園には100体以上のシラカシが植栽されており、多果を発現しやすい個体も数多くあります。とりわけ、それらの中の数体は、これまでに不定期ながら数100個もの多果を結実した実績があり、量もさることながら、他の個体とは比較にならないぐらい形態のバリエーションが豊かです。ここでは、それらを分類整理して多果の形態のバリエーションの全貌を紹介します。
 * 経験的に言うと、シラカシ以外のコナラ属ではツクバネガシやアカガシが多果を発現しやすい傾向があります。

 多果の殻斗の形態に着目しながら、統合型、分離型、あるいはそれらの複合名称を使うことで、2果(計:240個)を5種類、3果(計:185個)を15種類の形態に分類しました。
A. 2果の形態一覧(全5種類)


(注1) Type 5の紐状殻斗が多果の形態の一種であることについては、セクション3-1-4の4項を参照願います。

B. 3果の形態一覧(全15種類)


(注2) Type 6、9、12、15の紐状殻斗が多果の形態の一種であることについては、セクション3-1-4の4項を参照願います。

(補記)

・ 便宜上、図3-1-3-1や図3-1-3-2において複数の堅果をまとめて包含する殻斗を堅果統合型殻斗、複数の堅果を分けて包含する殻斗を堅果分離型殻斗と称します。


・ 多果の殻斗には、一見すると図3-1-3-1や図3-1-3-2の範疇に属さないと思われるような形態のものが幾つか存在します。それらの異形殻斗についてはセクション17を参照願います。

・ 1つの殻斗が2個の堅果を包含したものが2果なので、図3-1-3-1のType5のように堅果を1個しか包含しないものは厳密に言うと単果です。ただ、ここでは開花から結実に至るまでに退化消滅した堅果も含めて2果として分類します。3果についても同様です。