3-1-5. 多果の花からドングリへ

 コナラ属の中でも、シラカシは特に多果を発現しやすい傾向があります。個体によっては、万単位の多果の雌花を咲かせるものもありますが、それらの中で結実するのはせいぜい1/100程度といったところでしょう。ですから、1つの多果の雌花が結実するまでの過程を定点観察するのは容易なことではありませんが、開花時から複数の個体でランダムに多果の定点撮影を続けてきた結果、幸運にもそれらの中の1個が無事に結実してくれました。
 この幸運をもたらしてくれたのは、自宅周辺の街路樹として植栽されたシラカシ(樹高:2m程度です。樹全体における開花状況を確認したところ、6月には総計314個の多果の雌花がありましたが、最終的に結実したのは2果が2個と3果が1個の計3個(図3-1-5-A参照)でした。今回撮影に成功したのは、これらの中の3果でした。

 3個の堅果の内の1個は、途中で成長が停止してしまったので、パッと見は2果にしか見えませんが、写真をよく見ると殻斗の隙間から第3の堅果がちょこっと顔を出しているのが判りますか?


 以下のファイルは、3果の雌花が開花(6月上旬)してから結実(11月中旬)するまでのおよそ半年間の成長記録です。

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・ セクション8 “ 雑記68: 多果の雌花がドングリになるまで ”