堅果 〜花柱〜

 図10-D-1は、花柱の先端付近を拡大撮影したものです。3つに分かれた花柱の先端付近が外向きに反っています。また、花柱の表面は高さ方向に柱状の組織がいくつも寄り集まったように見えます。

 図10-D-2は、花柱の表面とその断面を拡大撮影したものです。花柱の表面は、殻斗の外壁と同じ様に細かい毛 [ 太さ:5ミクロン、長さ:100ミクロン(=0.1mm)程度 ] で覆われています。ただ、殻斗の場合とは異なり、この毛は下地(堅果の最表面層)との密着性が低く、指先で軽く擦るだけで簡単に剥離します。
 一方、花柱の断面構造を見ると、表面は毛で覆われていますが、その内部は図10-C-1で見た果皮と同じ組織構造であることが判ります。

 図10-D-3は、堅果の首回りに密生する毛を拡大撮影したものです。花柱の根元から首回りの最表面層にかけて、同じ形質の毛が密生しています。


 図10-D-4は花柱とその周辺部を電子顕微鏡で拡大撮影したもので、図10-D-5は花柱とその周辺部の実体顕微鏡による断面写真です。これを見ると、花柱は果皮と同じ組織で包まれているのが判ります。
 図10-D-6は、これらの写真を基に描いた花柱周辺の断面構造の模式図です。