雑記613. 2026. 9. 8
“ 不稔なのに...デカい ”
開花しても受精に与れなかったマテバシイの不稔の幼果は、せいぜい5mm前後のちっぽけなサイズのものが普通ですが、不稔なのにとってもデカい幼果をつける個体が山田池公園 [ 所在地 : 大阪府枚方市 ] にあります(図8-613-1参照)。
この図ではサイズの実感がわかないと思うので、比較対象として典型的なマテバシイの不稔の幼果を横に並べてみました(図8-613-2参照)。この図の上段は、この個体から採集した大きな幼果が着いた果軸、下段は典型的な幼果が着いた果軸といっしょに撮影したものです。これを見れば、この個体の幼果が本当に不稔なのか疑いたくなるぐらい、大きく膨れあがっている様子がはっきりと見て取れます。
ところで、この個体に見られる幼果は、典型的な不稔の幼果を等方的に膨らませただけではありません。実は、高さ方向に選択的に伸長したものもあるのです(図8-613-3参照)。まるで、果軸から分岐した短い果軸の先に不稔の幼果が着いているように見えますが、これがこの個体の普通の幼果なんです。
このように、同じマテバシイでもこの個体はかなり変わった形態の幼果を着けますが、先日この個体で私が主張するマテバシイ属の果実は複数の雌花序が合着したものではない(*)ことを示唆する果軸が見つかりました(図8-613-4参照)。
* このHPの中で繰り返し述べていますが、私はマテバシイ属の殻斗が複数の殻斗が合着して構成されたものだとは考えておりません。なぜなら、私のこれまでのフィールド調査において、マテバシイ属の殻斗が合着したものでないことを示唆する事象なら数多く目にしてきましたが、その逆は現在に至るまで皆無だからです。
この果軸に着いた幼果は、合着したように見える幼果の数に関わらず、どれも果軸との接合部の面積がほぼ同じです(図8-613-5上段参照)。おまけに、普通の幼果では判別しにくい1つの殻斗の元になる器官から殻斗が出現した様子がはっきりと見て取れます(図8-613-5下段参照)。
要するに、マテバシイの果実は1つの殻斗の元になる器官に複数の雌花が咲いてできたものであって、複数の雌花序が果軸の特定の箇所(節)に集結して合着しているのではないことを、このサンプルは端的に表わしているとは考えられないでしょうか。
