雑記596. 2025.11.17
“ シラカシの王様 ”
京阪神で採集できるアカガシ亜属のドングリの中でメジャーな3種と言えば、ウラジロガシ、アラカシ、そしてシラカシです。ドングリに興味をもつようになって20年以上になりますが、これらのドングリについては、私が独断で選出した不動の王様が存在します。今回は、ウラジロガシの王様(*)とアラカシ(**)の王様に次ぐ第三弾として “ シラカシの王様 ” をご紹介します。
* 雑記241を参照願います。
** 雑記519を参照願います。
シラカシのドングリと言えば、図8-596-1や図8-596-2のような縦長の卵形をしたものをよく目にします。どれも似たような形で、これと言って違いは無さそうですが、それらの中でひときわ目を引くドングリがあるんです(図8-596-3参照)。
このドングリの最も特徴的な部分は、その首回りの構造です。輪状の構造物(落痕)が突出したような首は、ここだけがあたかも別の構造体のように見えます。また、スリムな堅果も一般に目にする縦長のものをよりシャープにした感じがします。
さらに、殻斗についても特筆すべき点があります。樹上に結実したばかりの新鮮な状態だと、他のシラカシの殻斗と大差はありません。ところが、地面に落ちて乾燥したものを見ると、輪状の鱗片の各層ごとに微妙に色合いが変化して、独特の寂びた雰囲気を醸し出すのです☆
実はこのドングリ、自宅から徒歩で10分程度のところにある深田公園 [ 所在地 : 兵庫県三田市 ] にある個体に結実します。この個体は、ほぼ隔年で大量に結実します。今年はちょうどその年で、たっぷりと樹上に実ったドングリたちを存分に愛でることができました(注)。
(注) これまで膨大な数のシラカシのドングリを見てきましたが、王様に推挙できるドングリはこれ以外にありません。アラカシの王様と同様、シラカシについても地元のドングリを王様に選出しましたが、決して地元を贔屓にしているわけではないことをご理解ください。