5.  ドングリの標本を作ろう!

 秋も終わりに近づくと、クヌギやアベマキのような大きなドングリを結実する樹の下には、足の踏み場も無いぐらいたくさんの殻斗が散乱している光景をよく目にします。ドングリ拾いに来た人達は、みな堅果を蒐集するのに夢中で、殻斗にはほとんど見向きもされないようです。

 私もドングリに興味をもち始めた頃は、“ 殻斗には大小の違いがあるだけで、形はみんな同じ! ” というイメージが強かったので、ほとんど殻斗に着目することはありませんでした。
 ところが、パッと見これと言った特徴も無く、全て同じような形に見えるのですが、多くの個体から採集したものを見比べてみると、意外にも様々な形態があることに驚かされました。
 このセクションでは、堅果と同じぐらい多様な形態があるにも関わらず、普段あまり注目されていない殻斗にスポットライトを当てて、その魅力をご紹介したいと思います。

 ここでは、基本構造がよく似たクヌギとアベマキの殻斗をピックアップし、殻斗のディティールを元に私の独断で以下の13のタイプに分類しました。ご覧になられる方は、分類名称のところをクリックして下さい。なお、本文の殻斗の部位の説明に使用している用語は、便宜上私が命名したものなのです。各用語の定義については、図2-2-2を参照願います。


クヌギ/アベマキの殻斗形態の分類一覧
01. 直径が50mmを超える大きな殻斗 [ 着目箇所 : 直径 ]
02. 直径が25mm以下の小さな殻斗 [ 着目箇所 : 直径 ]
03. 奥行きが深い殻斗 [ 着目箇所 : 長さ ]
04. 奥行きが浅い殻斗 [ 着目箇所 : 長さ ]
05. 内壁が毛深い殻斗 [ 着目箇所 : 内壁 ]
06. 裾から伸びる鱗片が長い殻斗 [ 着目箇所 : 鱗片 ]
07. 裾から伸びる鱗片が短い殻斗 [ 着目箇所 : 鱗片 ]
08. 幅広の鱗片をもつ殻斗 [ 着目箇所 : 鱗片 ]
09. 細い鱗片をもつ殻斗 [ 着目箇所 : 鱗片 ]
10. 鱗片が密生している殻斗 [ 着目箇所 : 鱗片 ]
11. 鱗片が束になり癒着している殻斗 [ 着目箇所 : 鱗片 ]
12. 鱗片が硬くて頑丈な殻斗 [ 着目箇所 : 鱗片 ]
13. 異常成長した鱗片をもつ殻斗 [ 着目箇所 : 鱗片 ]