雑記B. 2008.11. 1
“ 落下する前に割れているドングリ ”
 先日、勤務先にほど近い昆陽池公園を散策していると、果皮が裂けたクヌギのドングリがたくさん落ちているのに気づきました(図8-B-1参照)。“ ここのところ雨も降っていないのに、落下して早々に発根の準備を始めるなんて、随分と気が早いドングリだな〜 ” と感心していたのですが、ふと頭上の枝を見上げると、そこには同じように果皮が裂けたドングリがたくさんぶら下がっていたのです。

 まだ地面に落下してないのに、こんなに破茶滅茶に果皮が裂けているなんて、これはちょっと珍しい事象ではないだろうかと思ったのですが、後に服部緑地や久宝寺緑地(図8-B-2参照)、そしてそれ以外の場所でもしばしば同様のものを目にしました

 通常、落下したドングリは外部から水分を吸収し、堅果の首の辺りの果皮を破って発根します。このドングリの場合は、果皮を破る手間が要らないので、発根するのに有利なのかもしれませんが、地面に落下する前から種子を無防備な状態に曝すことで、昆虫や鳥獣による食害の危険が増すような気がします。


(追記)
 昆陽池公園で再び果皮が割れたドングリを採集して、堅果の中身を調べてみました(図8-B-3参照)。すると、セクション6-3で紹介したものと同様に、2個の種子が入っていました。たぶん、そのせいで種子を包み切れなくなった果皮が裂けてしまったのかもしれません。落下する前に割れているドングリの全てが多種子とは限りませんが、少なくともこのドングリが裂けていたのは、これが原因だったようです。