ケース9. 堅果の肩の辺りに形成された殻斗 その2

 
 2果形態のケース5で、堅果の肩の辺りにもう1つの小さな殻斗があるドングリを紹介しました。その後、掖谷公園 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] で大量に結実したシラカシの多果の中に、これと類似したものが幾つか見つかりました。代表的なものを図17-1-9-1に紹介します。

 いずれも、肩の辺りに小さな第二の殻斗があります。この小さな殻斗は、殻斗本体から空間的に分離しているように見えますが、よく見ると両者を繋ぐ中間媒体のようなものが堅果の表面に埋没しているのが判ります(図17-1-9-2参照)。これらは、殻斗からこの小さな殻斗まで延伸した維管束と考えられます。


(追記)
 その後の調査で、図17-1-9-1の小さな殻斗は堅果の側面に沿って立つ果軸に着いた幼果(堅果は退化消滅)であることが判りました。ですから、厳密に言うとこれは単果です。詳細は、セクション8の雑記303を参照願います。