ケース5. 堅果の肩の辺りに形成された殻斗 その1

 驚いたことに、堅果の肩の辺りに貼りつくようにして小さな殻斗が形成されています(図17-1-5-1参照)。殻斗から空間的に分離したところに、小さな殻斗が形成されたドングリを見たのはこれが初めてです。

 よく見ると、殻斗から小さな殻斗に至るまでの果皮に、細かい毛の様なものがびっしりと付着しているので、両者は完全に分離しているのでは無いのかもしれません。果皮に埋没しているか、あるいは果皮と同色で区別がつかないだけで、実は細かい毛の下に殻斗から延伸した維管束が通っているのかもしれません。

(追記)
 その後の調査で、図17-1-5-1の小さな殻斗は堅果の側面に沿って立つ果軸に着いた幼果(堅果は退化消滅)であることが判りました。ですから、厳密に言うとこれは単果です。詳細は、セクション8の雑記303を参照願います。