アベマキ(Quercus variabilis)
 
 国内に自生するコナラ亜属の樹種については、ミズナラを除くと多果が結実することは極めて稀です。ただ、摂津伊丹廃寺跡 [ 所在地 : 兵庫県伊丹市 ] に植栽された1体のアベマキだけは、2008年に初めて確認してから、2023年までに少なくとも20個の多果ドングリを結実しました。

 この個体は、ほぼ毎年のように多果を結実します。2018年までは、年間でせいぜい1個か多くても2個でしたが、2019年と2022年にはそれぞれ5個も結実しました(図3-B-7-2参照 : 右側にある殻斗と堅果はペアです)。

 多果の形態としては、1つの殻斗が複数の堅果をまとめて包含する堅果統合型殻斗のもの(図3-B-7-3参照)が中心ですが、1つの殻斗が複数の堅果を分離して包含する堅果分離型殻斗のもの(図3-B-7-4参照)もあります。