マテバシイ(Lithocarpus edulis)
 
 マテバシイのドングリは、1つの殻斗が複数個の堅果を包含した多果の形態が基本です(*)。通常、マテバシイの殻斗は1〜3個の堅果を1つずつ分離するように包含します(図3-B-17-1参照)。
* このHPの中で繰り返し述べていますが、私はマテバシイ属の殻斗が複数の殻斗が合着して構成されたものだとは考えておりません。なぜなら、私のこれまでのフィールド調査において、マテバシイ属の殻斗が合着したものでないことを示唆する事象なら数多く目にしてきましたが、その逆は現在に至るまで皆無だからです。

 ただ、稀に複数個の堅果をまとめて包含することもあります。まとめて包含した堅果の中には、合着して一体化したものもあります(図3-B-17-2参照)。

 
 マテバシイの多果は3果が最大ではありません。極めて稀に4果以上のものも見られます。図3-B-17-4は4〜6果の例です。マテバシイ属の果実の中には、複数の雌花序が合着して形成された擬似多果ドングリ
(**)もありますが、この図の幼果は果軸との接合面積が3果以下のものとほぼ同等なので、擬似多果ドングリではありません。
** セクション32を参照願います。