アラカシ(Quercus glauca)
 西日本では、ドングリの樹と言えばアラカシを意味するぐらい至る所に植栽されています。シラカシのドングリと非常に良く似ているので、同じように多果を結実しやすい樹種と思われるかもしれませんが、現実は真逆です。たぶん、アラカシが100体あれば、その中で多果を結実するのはせいぜい1体か2体でしょう。中には、シラカシと同じぐらい大量に多果を発現する個体もありますが、それらの個体が結実することは稀です。

 そのような状況下で、山田池公園 [ 所在地 : 大阪府枚方市 ] にある個体がたくさんの多果を結実した例があります。図3-B-2-3は、特定の個体が20個以上の多果を結実した時のものです。この個体には、不定期ながら多果を大量に発現し、量の多少はありますが結実する傾向が認められます。

 一方、同園にある別の個体でも大量に多果を発現し、それらの中の4個が結実した例があります(図3-B-2-4参照)。これを見ると、アラカシにもシラカシと同じように、1つの殻斗が複数の堅果をまとめて包含するタイプ(堅果統合型殻斗)と、分けて包含するタイプ(堅果分離型殻斗)の2つの形態が存在することが判ります。