ミズナラ(Quercus crispula)
 
 京阪神の平地ではあまり見られない樹種です。それにも関わらず、数少ない個体からこれまでにたくさんの多果ドングリを採集してきました。単果の表面に1つ乃至2つ以上の細長い物体(堅果)が付着したようなもの(図3-B-14-1参照)がほとんどですが、中には図3-B-14-2や図3-B-14-3のように明確に多果(2果)と判別できる形態のものもあります。


 一方、ミズナラの変種と考えられているフモトミズナラも、多果の発生状況についてはミズナラとよく似た傾向があります。単果の表面に細長い紐状の物体が付着したようなもの(図3-B-14-4、図3-B-14-5参照)がほとんどですが、中には図3-B-14-6のように明確に多果(2果)と判別できる形態のものもあります。

 
 経験的に、アカガシ亜属は多果を結実しやすく、コナラ亜属は結実しにくい傾向がありますが、ミズナラは国産のコナラ亜属の中でも例外的に多果を結実しやすい樹種と言えるかもしれません。