アカガシ(Quercus acuta)
 
 京阪神の平地にはあまり植栽されていない樹種ですが、これまで複数の個体で多果を確認しました(図3-B-12-1参照)。経験的に、国産のアカガシ亜属の中では、ドングリの形態がよく似たツクバネガシと同じぐらいに多果が結実する割合は高いと思われます。

 他の種類と同様に、多果が発現してもそれらが結実することは稀で、ほとんどは幼果の段階で脱落します。図3-B-12-2は同じ個体で撮影した同一の幼果ですが、右側の写真を撮影してから半月も経たずに枯死しました。

  図3-B-12-3は多果が結実した数少ない例です。

 
 図3-B-12-3の(A)のドングリは、殻斗の内側にある離層の痕跡から伸びる細長い堅果の横に、先端部に小殻斗を着けた果軸が併存しています。これは、シラカシを除くアカガシ亜属のドングリでは大変珍しい形態です(図3-B-12-4参照)。