9-1-2. 殻斗に寄生するタマバチの仲間

◎ ドングリの種類
 これまでに、殻斗(柄や果軸も含む)に形成されたタマバチの虫瘤を確認したのはコナラだけです。

◎ 虫瘤の形態

 コナラの殻斗の柄から果軸にかけて虫瘤を形成するタマバチがいます。虫瘤を形成されたコナラの果軸は、通常の太さの何倍にも膨れ上がります(図9-1-2-1参照)。

 ここに寄生するタマバチの幼虫は体長が1〜2mm程度で、果軸の内部に自身が入れる空間を確保するだけで、堅果に寄生するタマバチのように堅牢な虫室を作りません(図9-1-2-3参照)。また、1本の果軸の中には、虫室が1つのものと2つのものも見られますが、1匹の成虫が複数個産卵しているのか、あるいは複数匹の成虫が1個ずつ産卵しているのか定かではありません。

 このタマバチの幼虫は、ドングリの成長に必要な養分の通り道である維管束を狭窄(分断もしくは遮断)して、そこから養分を摂取して成長すると考えられます。ですから、この幼虫が寄生すると、十分な養分が供給されなくなった幼果は枯死してしまいます。


◎ 成虫

 コナラの殻斗の柄から果軸にかけて寄生するタマバチは、産卵した翌年の5月中旬〜5月下旬頃に羽化します。主に、枯死した幼果や殻斗の柄の辺りに内側から穿孔して外に出てきます。体長は1.5〜2.5mmぐらいです。

◎ 産卵

 4月下旬に、コナラの雌花の子房の辺りに産卵管を立てているタマバチを目撃しました(図9-1-2-6参照)。私がこのタマバチの羽化を確認したのが5月中旬〜下旬なので、産卵時期との間には半月以上のズレが生じますが、羽化を確認したタマバチの虫瘤を採集した場所と産卵を確認した場所とでは、前者の方がコナラの開花時期が半月程度遅いことから、タマバチが生活している土地のコナラの開花時期に合わせて、羽化と産卵を繰り返しているのではないかと考えられます。

◎ 補記
 上記以外にも、コナラの殻斗に直接虫瘤を形成するタマバチもいます(図9-1-2-7参照)。この蕾のような形をした虫瘤の内部に球形の虫室があり、その中に体長が2mm前後の幼虫が1匹入っています。詳しい生態については不明です。