雑記083. 2012. 7.16
“ 2本の花柱をもつドングリ ”
 これまでに、属種を問わず(クリ属を除く)2〜5本の花柱をもつ雌花(果実)を目撃してきましたが、それらについて花柱の本数が存在する割合を不等号を使って表現すると、だいたい以下の様な関係が成り立つのではないでしょうか。これは、あくまで観察者である私自身の経験的、感覚的な見積もりです。

3本 > 4本 > 5本 >> 2本

 不等号1つで、数量のオーダーがおよそ1桁違うと考えて下さい。5本と2本の間に不等号を2つ(オーダーが2桁違う)挿入していますが、それだけ2本の花柱をもつものは数が少ないのです。

 雑記082で記載した通り、花柱はスプリットしたり合着したりするので、外観からは花柱が2本あるように見えても、実際にはその内の1本は2本の花柱が合着している場合(図8-83-2参照)が多々あります。ですから、稀に2本の花柱をもつものがあっても、それが純粋に2枚の心皮で構成されているかどうか見た目では判断しにくいのです。

 ところが、そんな希少な2本の花柱をもつ堅果(幼堅果)が、当たり前のように見られるシチュエーションが存在するのをご存知でしょうか?実は、多果の幼果の中には典型的な3本の花柱をもつ堅果といっしょに、2本の花柱をもつ堅果が数多く混在しているのです(図8-83-3参照)。これは多果に特有の形質です。