雑記008. 2009.11.20
“ 鮮烈な色彩 〜 ウォーターオークの種子 〜 ”
先日自室でドングリの整理をしていた時に、過って床に置いていたウォーターオークのドングリを踏みつけて割ってしまいました。採集してきたばかりのドングリなのでとてもショックでしたが、それらを片づけようと拾い上げた時、割れた果皮の隙間から見えた種子の色に目が釘付けになってしまいました。なんと、ウォーターオークの種子は目にも鮮やかなオレンジ色だったのです(図8-8-1参照)。
これまで種子と言えばクヌギやシイなどの乳白色か、あるいは薄黄色のものしか見たことがありませんでした(図8-8-2参照)。こういう地味な色が普通だと思っていたので、オレンジ色はかなり衝撃的でした。
もしかしたら、日本のドングリの種子が総じて淡白な色なだけで、外国のドングリは濃厚な色彩が一般的なのかもしれないと思い、手元にあったレッドオークやピンオークのドングリを割って種子の色を確かめてみました。ところが、これらはやや黄色味が強いものの、基本的には日本のものと同様にあっさり系だったのです(図8-8-3参照)。
ウォーターオークの種子の断面は、切ったばかりの柿の実の断面と色合いが良く似ています。ちょうど夕飯前にこの濃厚なオレンジ色を見つめていると、割れた種子の瑞々しい断面からなにやらほのかに甘い香りが漂ってきました。“ もしかすると、これって食べれるのかも? ” と思ってペロリとひと舐めした瞬間、渋柿のような苦みが口中に走り、思わず唾を吐き出してしまいました。色は鮮やかなれど、クヌギやコナラのドングリと同じでウォーターオークもタンニン(*)の弾丸でした。
夕食後に、ウォーターオークの種子の匂いもう一度嗅いでみましたが、甘い香りなど全然しませんでした。どうやら、先程のあの感覚は空腹時の錯覚だったようです。
* タンニンはドングリの渋味の成分です。日本で採集出来るドングリの中で、マテバシイは多少青臭さはありますがタンニンの含有量が極めて少ないことから、クリやシイと同様に生食出来ます。その他のドングリはタンニンの含有量が高いので、灰汁抜きをしないと渋くて生食出来ません。