雑記077. 2012. 5.28
“ かわいい虫瘤を見つけました♪ ”
 昨日は素晴らしい好天に恵まれたので、終日自宅周辺の緑地や公園を探索しました。5月下旬になると、この辺りではシラカシやウラジロガシの花が見頃ですが、掖谷公園 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] を散策していたら、他では滅多に目にすることがないウラジロガシの多果の雌花を見つけました(*)。この個体は、昨年の夏に多果を発現しており、もしやと思って枝を掻き分けながら一つ一つ雌花を丹念に調べてみたら、2個だけでしたが2果の雌花が咲いていました。因みに、ウラジロガシのドングリの花柱はアラカシやシラカシに比べてとても繊細ですが、雌花にもその様子がはっきりと窺えました(図8-77-3参照)。
  * 詳細は、雑記51を参照願います。

 ドングリの花はとても小さいので、意図して枝と睨めっこしなければ決して視界に入って来ることはありません。ところが、ボ〜っと散策していてもやたらと目につくものが1つありました。それは、コナラの樹の芽にナラメリンゴタマバチ [ 学名 Biorhiza nawai ] が寄生して出来た虫瘤(**) [ ナラメリンゴフシ ] です。直径が20〜30mmぐらいのものがほとんどで、今年出来たばかりのものは発泡スチロールの様に表面がサラサラしており、指で押すとやや弾力がありました(図8-77-4参照)。

 たくさんあったナラメリンゴフシの中でも、特に吉尾公園の小さな枝先に出来た直径が10mmに満たないかわいらしいものが印象的でした(図8-77-5参照)。こいつは太陽光を直接浴び続けたせいか、表面がうっすらと赤く変色していました。
** 3〜4月頃に形成され、6月頃に成虫が羽化する。

 この日は、ドングリの花見が目的だったのに、どこへ行ってもナラメリンゴフシに目を奪われて、ほとんどの時間をその観察に費やしてしまいました。これまでは、ドングリに寄生する昆虫だけを対象に調査してきましたが、ドングリの樹や葉に寄生する昆虫にも触手を広げてみると面白いかもしれません。