雑記075. 2012. 5.22
“ これがアラカシの多果の雌花です ”
 ドングリの花の観察を始めてから、ぜひともアラカシの多果の雌花を見てみたい思い、春が訪れるたびに色々な所に植栽されたアラカシを手当たり次第に観察してきたのですが、なかなかその姿を目にする事が出来ませんでした。
 それもそのはず....これまでの経験から言うと、比較的多果を発現しやすいシラカシと違って、アラカシでは極めて稀にしか咲がないから、これは至極当然のことなのです。

 ところが、昨年の夏栗ノ木谷公園 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] のアラカシで、遂にこれまでに例が無いぐらいたくさんの多果を発現した個体を見つけたのです
(*)。ですから、今年の春はアラカシの多果の雌花が拝める絶好のチャンスで、昨年の夏からこの時期が来るのを一日千秋の思いで待ち続けてきました。
* 詳細は、雑記52を参照願います。
 同じアラカシでも開花時期に幅があるので、開花のタイミングを外さないように4月の中旬から毎週のように同園に足を運んできましたが、ゴールデンウィークが明けて周囲のほとんどのアラカシが開花しても、この個体だけは依然として花を咲かせてくれませんでした。
 ドングリの樹は個体によって毎年開花するものもあれば、隔年かあるいは不定期に開花するものもあるので、もしかすると昨年開花したから今年はしないのではないかと、ヤキモキさせられる日々が続いていたのですが、今月半ばの15日になって漸く雄花が咲き、20日過ぎには待ちに待った雌花を拝むことが出来ました(図8-75-1参照)。

 早速、手の届く範囲の枝を引きずり降ろして一つ一つ形状を確認していくと、予想した通り多果の雌花が咲いていました。昨年は手の届く範囲に100個以上の多果の幼果があったので、もっとたくさんの雌花が咲いているかと思ったのですが、2果と3果の雌花を合わせて僅か7個しか確認出来ませんでした(図8-75-2参照)。

 ドングリの雌花は1〜2mm程度と非常に小さく、他の植物の花のイメージとは随分かけ離れていますが、こんなにちっぽけな花でもドングリの種類によってその形態は様々です。
 比較のために、今年採集したシラカシの多果の雌花をご覧ください(図8-75-3参照)。子房を包み込んでいる花被/花床の部分を比べてみると、シラカシでは子房と同色(黄緑色)かあるいは薄い焦茶色なのに、アラカシでは赤黒い色をしているのがおわかり頂けますか?
(**)

** 個体によっては、シラカシの雌花でも赤色や赤黒色の花被/花床をもつものもあります。