雑記073. 2012. 2.18
“ 個体によって多果ドングリの形態は様々です ”
 昨年は、近年で稀にみるシラカシの多果の豊作年でした。私にとって最大の収穫は、これまで長年に亘って探し求めてきた4果以上の高次の多果(*)に巡り合えたことですが、それ以外にもこのドングリを探索する過程で、個体間における多果の形態の違いについて多くの貴重な知見を得ることが出来ました。
 今回、それらの中から多果の形態に特徴のあるシラカシの個体を3体ピックアップして、各々の多果の形態を分類した結果を表8-73-1と表8-73-2にまとめました
(**)

 選出した3つの個体の所在地は以下の通りです。これらの中で、シラカシ1とシラカシ2については、過去に何度も数百〜数千個レベルの多果を結実した実績があります。

  * 詳細は、セクション15を参照願います。
** 多果ドングリの形態を表す略式記号については、雑記015の表8-15-1を参照願います。
(選出した3つの個体の所在地)
 ・ シラカシ1 : 兵庫県三田市 深田公園
 ・ シラカシ2 : 兵庫県神戸市 掖谷公園
 ・ シラカシ3 : 兵庫県三田市 三田谷公園

 シラカシ1とシラカシ2については、2果と3果の総数が各々2000個(ほとんどは幼果)を上回っており、表に記載したほぼ全種類の形態を網羅しています。両者とも、複数の堅果を一纏めにした統合型殻斗 [ Type1〜Type3 ] が大半を占めていますが、分離型殻斗 [ Type10〜Type15 ] の割合についてはシラカシ1よりもシラカシ2の方が若干多いのが判ります。

 このように、ほぼ全種類の多果の形態を発現する個体は、一般に多果をたくさん結実する個体の中でも極めて稀で、多くの個体では統合型殻斗が大半を占めます。ただ、シラカシ3のように分離型殻斗が全体の99%以上を占めるものもあります(図8-73-1参照)。