雑記619. 2026.10.20
“ 粃、再び ”
 2014年11月、兵庫県神戸市にある高塚山緑地のコナラで大量の粃を見つけました(*)。マテバシイ属やシイ属のドングリでは普通に見られる粃は、コナラ属のドングリには無いと文献に記載されていますが、たぶんそれは誤認ではないでしょうか。
* 雑記182を参照願います。
 確かに、現存する一般のコナラが粃を発現するのを私は見たことがありません。ですが、同じコナラの中でも季節外れに開花する個体は、一般のものとは生態が異なるだけでなく、個体間でも大きな差異が認められます。それらの中でも粃を発現した個体は、私がこれまでに観察してきたどのコナラよりも、多くの点でコナラ属の古い形質を色濃く残していることから、太古の昔にはマテバシイ属やシイ属と同様に、コナラ属でも粃が普通に存在していたのではないかと思われます(図8-619-1参照)。

 
 前回粃を見つけた時は、この個体の結実時期を過ぎた11月中旬だったので、それらは全て樹下に落ちて乾燥が進行していましたが、今回は10月中旬だったこともあり、粃の多くがまだ樹上に残存していました。

 粃は果皮の内側がほぼ空洞なので、果皮の乾燥が早く、樹上で他のドングリが結実する前に果皮が退色しているものが目につきました。枝に着いたドングリに軽く触れると、殻斗から堅果が比較的容易に脱落しましたが、堅果を手にすると、あらためてその軽さに驚かされました。まるで、掌に載せているのがドングリではなく、鳥の羽みたいだったからです☆

 因みに、今回は300個を超える粃を採集し、その中から果皮の割れやキズが目立つものを廃棄したところ、手元に185個が残りました(図8-619-3参照)。総重量が63gありましたので、1個当たりはおよそ0.3gですが、これは前回採集したものとほぼ同じ値でした。