雑記604. 2026. 4.17
“ アラカシ、シラカシ、ウラジロガシの花期 ”
国産のドングリの樹で、花期が最も長いのはマテバシイです(*)。マテバシイは、ほとんどの個体が5〜6月に開花しますが、稀に7〜8月に開花するものもあります。さらに、5月〜8月に開花した個体の中には、9月〜12月にかけて2度目、3度目の花を咲かせるものもあります。単に花期が長いだけなら、コナラの中にもマテバシイと同じように春から初冬まで開花を繰り返す個体がありますが、開花月にかかわらずそれらが結実するのはマテバシイだけです。
* 雑記461を参照願います。
では、開花月にかかわらず結実する樹種で、マテバシイに次いで花期が長いものは何かというと、それはアラカシでしょう。早いものは3月下旬、遅いもので5月下旬〜6月上旬頃に開花します。アラカシのドングリの結実期の個体差が大きいのは、花期の個体差が関係しているのかもしれません。
一方、アラカシとドングリの形態がよく似たシラカシは、アラカシよりも若干花期が短く、早いものは4月上旬、遅いもので5月下旬頃に花を咲かせます。
ちなみに私が調べた限り、アラカシとシラカシは開花時期と多果の発現との間には相関があり、両者とも4月以前に開花する個体では多果の発現は稀ですが、5月以降に開花する個体では発現しやすい傾向が認められます。アラカシはシラカシのように大量の多果を発現することはありませんが、両者が交雑することを考えると、この時期に多果を発現しやすい個体の中には、シラカシとの交雑が関与しているものがあるのかもしれません。
もう一つ、アラカシとよく似た形態のドングリを結実するものにウラジロガシがあります。京阪神の平地では、アラカシやシラカシに比べると植栽数は極端に少ないのですが、それらの開花状況を調べてみると、早いものは4月下旬、遅いもので5月下旬頃だったので、私の中でウラジロガシはシラカシよりも花期が短い印象がありました。
ところが、近年自宅周辺の山中に数多く自生するウラジロガシの花期を調べたところ、早いものは4月上旬に開花しており、シラカシの花期とほとんど変わらないことが判りました。ただ、多くの個体が自生する山中でも、4月下旬〜5月以降に咲くものが一般的で、4月上旬〜中旬にかけて開花するものは少数でした。
(補記)
図8-604-4は、4月上旬に撮影したウラジロガシの開花の様子です。これは、山中に自生する個体ではなく、平地に植栽されたものですが、私がこれまでに平地で開花を確認した数少ない事例の一つです。
