雑記603. 2026. 3.10
“ アカガシで見つけた異形の多果 ”
宰相ヶ岳 [ 所在地 : 兵庫県三田市 ] のアカガシから採集した大量の多果(*)の中に、多果多産のシラカシでも見たことがない異形の多果がありました。
* 雑記602を参照願います。
一つは、殻斗が複雑に捻じれたものです(図8-603-1参照)。このタイプは、ここで紹介するもの以外にも相当数ありました。シラカシでも多少のうねりのある殻斗はありますが、このように堅果と堅果を仕切る殻斗が複雑に交差したり、前方に大きく迫り出した形態のものは初めてです。
図8-603-2は、このタイプのディティールですが、幼堅果はどれも殻斗の内側に隠れていたので、鮮明に撮影することができませんでした。ちなみに、それぞれの図中にある果数は、目視で確認した幼堅果の数です。
そして、もう一つは少しマニアックですが、果軸との接続がこれまで見てきたのとは逆の関係にある多果です(図8-603-3参照)。図8-603-4は、そのディティールです。
通常、一つの殻斗が複数の堅果を分けて包含するタイプ(=堅果分離型殻斗)の多果では、それを構成する複数のドングリの一つだけが果軸に接したような形をしています。図8-603-5は、シラカシに見られる典型的な堅果分離型殻斗をもつ2果の例です。ちなみに、この形態的特徴は多果の果数に依存しません。
この図のように、果軸からより離れたところに位置する堅果は、果軸に最も近い堅果に比べてサイズが同程度であるケースが一般的です。但し、後者に比べて前者が矮小なケースも少なからず存在します。その例として、図8-603-5に今回採集したアカガシの堅果分離型殻斗の2果を示します。
これまで、多くの樹種で何万個もの多果を観察してきましたが、堅果分離型殻斗の多果が包含する堅果の幾何学的構造配置(図8-603-5や図8-603-6参照)に例外が認められなかったことから、図8-604-3の多果は極めて珍しい形態ではないかと思われます。