雑記591. 2025.10.20
“ 第3のアベマキを見つけました ”
 2021年10月、二年成から一年成に転換したアベマキのドングリを見つけました。以来、その個体を含む2体のアベマキから、計4個の一年成のドングリを採集しました(*)。そしてこの秋、前二者とは異なる個体にも、一年成のドングリが結実しているのを確認しました☆

 そのアベマキは、西神中央公園 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] で初めて一年成のドングリを見つけた個体から10mも離れていないところにありました。今回は樹上のかなり高所に結実していたので、採集することはできませんでしたが、ドングリが結実している様子を可能な限り拡大撮影しました(図8-591-1参照)。
* セクション31-3を参照願います。

 
 この図の中程にあるのが、一年成に転換したと思われるドングリです。本当なら、手に取って新枝に結実している様子を確認できればいいのですが、やや精度の低いこの図でも判別は可能です。

 一年成と二年成を識別するポイントは、そのドングリが結実した果軸の腋に普通葉が残存していること、あるいはそのドングリの下方の枝に冬芽が立っていることですが、結実した枝が短か過ぎて、この図からはいずれの条件も満足していないように見えます。ただ、幸いにも今年の春に開花して異常成長した幼果が、このドングリと同じ枝にあったので、このドングリが一年成であることは間違いないでしょう。

 この個体も、これまで一年成に転換したドングリを結実したものと同様、多い年には春に開花した雌花序の半数以上が異常成長します。この図を見ても、一年成のドングリの周辺の新枝に、異常成長した幼果が多数認められます
(**)。この個体の二年成のドングリは、9月中旬頃に結実して、すでに樹上には残存していなかったので、この一年成のドングリと二年成の結実のタイムラグはおよそ一ヶ月と思われます。
** 前年の春に開花した幼果は、翌年の秋には枯死しているので、それを春に開花して異常成長した幼果と区別するのは容易です。

 これまで、3体の異なるアベマキで、二年成から一年成に転換したドングリを確認しましたが、いずれも例年春に開花した雌花序の数割から半数以上で異常成長が認められました。その点に着目して今後も観察を続けていけば、アベマキ以外の樹種についても年成の転換に遭遇できるのではないかと期待しております。