雑記589. 2025.10. 9
“ 太古の雄花序はひと味違う? ”
 9月上旬に、掖谷公園 [ 所在地:兵庫県神戸市 ] のウラジロガシに季節外れの花が咲きました(*)。開花した当初、花軸は主に雌花序(両性花序含む)で構成されていましたが、9月下旬頃から雄花序も目につくようになりました(図8-589-1参照)。
* 雑記587、588を参照願います。

 
 開花したばかりの雄花序を見ると、1つの苞が複数の雄蕊の塊を包含した、雌花序の多果形態のようなものが多数見受けられました。図8-589-2、図8-589-3に花軸の半分以上(もしくは全て)を雄花序が占有したもののディティールを示します。
 
 これを見ると、苞の中に3つの雄蕊の塊が分離して存在する様子がはっきり判ります。季節外れに咲いたウラジロガシの花は多果の両性花序が支配的なので、このような雄花序が存在しても不思議ではありませんが、実際にそれらが花軸に多数存在するのを目の当たりにすると、驚かずにはいられませんでした


 
 雌花序だけを多果形態にして大量にドングリを作りだそうとしても、それらが受精するのに必要な多くの花粉が無ければ意味がありません。果実の一般的な形態が多果であった太古の昔は、もしかすると雄花序もこのような形態が一般的だったのかもしれませんね。