雑記585. 2025. 9.17
“ 巨大なフモトミズナラのドングリ ”

 大阪公立大学 [ 所在地 : 大阪府堺市 (旧大阪府立大学) ] の構内に、それぞれ異なる形態のドングリを結実する4体のフモトミズナラが植栽されています(*)。早いものは8月中旬、遅いもので9月上旬から中旬にかけて結実しますが、先日最も結実が遅い個体から目を見張る特大サイズのドングリが落下しました☆
  * 雑記503、504、505、539を参照願います。

 
 その個体は、4体ある中でも平均的な堅果幅が最も大きいドングリを結実します。結実して樹から落下し始めたばかりのドングリは、比較的小さなものが多いのですが、徐々に大きなものが落下するようになります。特大サイズのドングリは、この個体における落下の終盤に採集したもので、殻斗の直径が34mm、堅果の直径が28mmもありました(図8-585-2参照)。同じ個体で採集した他のドングリと比較しても、その差は歴然としています(図8-585-3参照)。

 ところで、このドングリはなぜこんなにも大きくなったのでしょうか。同じ個体に結実したドングリでも極端に大きなものが結実するのは、大きく分けて2つの理由があります(**)。一つは、このドングリの元になった雌花序の子房が、6枚以上の心皮で構成されていた場合。そしてもう一つは、複数の胚珠が同時に受精して、多種子が発現した場合です

 雌花序が6枚以上の心皮で構成されていた場合、結実したドングリの首には心皮と同数の花柱があるはずですが、このドングリには3本(図8-585-4参照)しかありませんでしたので、巨大化した理由は後者である可能性が高いと思われます。果皮を割って中身の種子を確認するには、あまりにも惜しいドングリなので、これはあくまで推測ですが...。
 ** 雑記128、362を参照願います。