雑記558. 2024.11.23
“ うっかり見落としていました 第4例 ”
 摂津伊丹廃寺跡のアベマキで、今秋一年成のドングリが2個結実したと報告しました(*)が、樹上から2個目のドングリを採取している時、さらに高所にもう1個一年成のドングリが結実しているのを見つけました(図8-558-1参照)。これで計3個が結実したことになります。
* 雑記555〜557を参照願います。

 
 最後の1個は周囲の葉に埋もれるように結実していましたが、望遠レンズで拡大撮影すると、ドングリが結実した枝の後方には複数の側芽が認められたので、今年の春に伸長した新枝に結実したものであることは間違いありません(図8-558-2参照)。
 このドングリは、第2、3例のように高枝切りバサミが届かない高所にあったので、せめて堅果だけでも採取できればと思い、同地に隣接した竹藪から7m超の倒壊した竹を拝借してきて、ドングリが結実した辺りの枝を激しく揺さぶってみたところ、運良く地面に落下してきました。

 堅果は首から胴まで亀裂が入っていますが、果皮の隙間から覗く種子を見る限り、多種子では無さそうです。もともとこの個体が結実する堅果には、首を起点に果皮に亀裂が入ったものが多く見られるので、亀裂はこの一年成のドングリに限ったものでは無いと考えられます。また、重量は7.2gありましたが、この個体の二年成の堅果重量(=5〜7g)の上限値付近に相当するもので、二年成に比べて特に大きいというわけではありませんでした。

 以上、摂津伊丹廃寺跡で採取した3個の一年成のドングリは、サイズや堅果の重量の点において、同じ個体の二年成のドングリと比べて遜色無いものと結論づけます。なお、これらのドングリは引き続き土に播いて、種としての機能を確認する予定です。