雑記553. 2024.11.13
“ 山のアカガシのドングリ 〜 大船山編 〜 ”
 前回、アカガシのドングリが大豊作だった、昨秋の羽束山と宰相ヶ岳の状況について紹介しました(*)が、ちょうど同じ頃、すぐそばにある大船山 [ 所在地 : 兵庫県三田市 (標高 : 653m) ] でもアカガシのドングリが大豊作だったのです。しかも、大船山は近隣の山々の中でもアカガシの自生数が群を抜いて多く、中腹から山頂にかけては常にアカガシが視界にあるので、山全体だと相当な数にのぼると思われます。参考までに、図8-553-1は落葉樹の葉が枯れ落ちた冬季の大船山の景観ですが、この写真(下段)の中腹から山頂にかけて濃緑色に見える常緑樹の多くがアカガシです。

* 雑記552を参照願います。

 
 登山口から登り初めて、しばらくすると徐々にアカガシが目につくようになり、山の中腹辺りから登山道にはどこも足の踏み場もないぐらいたくさんのアカガシのドングリが落ちていました(図8-553-3参照)。

 
 大船山には、11月と12月にそれぞれ1度づつ訪れましたが、11月は登山道沿いの個体を中心に探索し、12月は高さの違う場所で登山道から横方向に山を周回し、人が入り込まないようなエリアに自生する個体を中心に探索しました。
 大船山のアカガシのドングリは、羽束山のように殻斗の形態に際立った多様性は認められませんでしたが、堅果の形態には大小だけでなく、表面を覆う微毛の有無や太短いのから細長いのに至るまで、山で採集したものとは思えないぐらいバリエーションが豊かでした(図8-553-4、図8-553-5参照)。

 
 羽束山と大船山の一連の探索行は、山のドングリでも一概に形態が単調とは言えないことを実感することができた、私にとって非常に有意義なものでした。