雑記552. 2024.11. 9
“ 山のアカガシのドングリ 〜 羽束山、宰相ヶ岳編 〜 ”
昨年の秋、自宅から10数キロ程の距離にある羽束山 [ 標高 : 524m ] と宰相ヶ岳 [ 標高 : 500m ] でアカガシのドングリが大豊作でした。これまで、山のドングリは形態が単調なこともあって、このHPで取り上げてきませんでしたが、羽束山と宰相ヶ岳のアカガシの個体数は高々50体ぐらいなのに、結実したドングリの形態はバラエティに富んでいました。山のドングリの豊作年を体験することは中々ないので、今回は一年前の探索行の記録になりますが、当時の状況について簡単に紹介します。
さて、冒頭で羽束山と宰相ヶ岳のアカガシと申し上げましたが、ほとんどの個体は羽束山の山頂付近に分布しており、宰相ヶ岳は中腹にある数体のみです。しかも、宰相ヶ岳で採集した堅果は、いずれの個体からも他の山でよく目にするアカガシとは思えない小さなものばかりでした(図8-552-3参照)。一方、羽束山の堅果もアカガシにしては小さなものばかりでしたが、宰相ヶ岳に比べると個体数が多いせいか、少しばかり形態にバリエーションが認められました(図8-552-4参照)。
ただ、堅果の形態だけを見ると、形態の多様性が豊かだとは決して言えない状況でしたが、ドングリを構成するもう一つの殻斗の形態については目を見張るものがありました(図8-552-6参照)。
どれも似たような形の堅果を包んでいるにもかかわらず、殻斗の大小は勿論の事、奥行の浅いものから深いもの、半球型から釣鐘型のものまで、個体数のわりには驚くほど多様でした。とりわけ、図8-552-6の右下の殻斗は肉厚なだけでなく、外壁に激しい凹凸があり、これまであまり見たことが無い特異な形をしていました(図8-552-7参照)。
次回は、羽束山や宰相ヶ岳と同様に、アカガシのドングリが大豊作だった近隣の大船山 [ 標高 : 653m ] の当時の状況について紹介します。