雑記551. 2024.11. 6
“ クヌギでよく見かけます ”
 クヌギのドングリで、しばしば殻斗の鱗片が極端に萎縮したものを目にします(図8-551-1参照)。それらの多くは、クヌギの殻斗に特有の毛足の長い鱗片が部分的、あるいは全体的に欠落しており、後者の中にはコナラかナラガシワのドングリと見紛うような形をしたものもあります。

 
 とりわけ、千代ヶ谷公園 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] に植栽されたクヌギは、毎年このような形態のユニークなドングリを大量に結実します(図8-551-2参照)。

 
 このドングリについては、既にセクション3-2-2で簡単に紹介していますが、鱗片が萎縮する理由については未だ解っておりません。ただ、鱗片に異変が生じるタイミングを調べた結果、開花してから翌年の4月頃までは、幼果にその兆候は認められず(図8-551-3参照)、5〜6月に幼果の鱗片が開き始める頃になると、該当する幼果の鱗片だけがうまく開かず、その後は鱗片が萎縮したままの状態で成長し続けることが判りました(図8-551-4参照)。

 
 鱗片が萎縮したドングリでも、種子としての機能は損なわれませんし、殻斗や堅果の内部に昆虫が寄生した痕跡も認められないことから、このような形態が外的要因によって生じたものでないことは間違いないでしょう。一方、鱗片が萎縮したドングリに見られる共通点として、同じ個体に結実したものでも極端に大きなサイズの違いが見られる(図8-551-2参照)ことから、おそらく殻斗の元になる器官に鱗片が萎縮する要因があるのではないかと思われます
(*)

(参考)
 同じ個体なのに、ドングリのサイズが著しく異なる要因の一つとして、殻斗の元になる器官のサイズが関与していることが考えられます(*)。図8-551-5は、シラカシに結実したドングリを撮影したものですが、殻斗や堅果の形態はまるで別物です。因みに、左側の3つのドングリは、右側のものに比べて極端に小さな殻斗の元になる器官に咲いた雌花が成長したものです。
* 雑記362を参照願います。