雑記548. 2024.10.17
“ スダジイの果軸のように見えますが... ”
ツブラジイと言えば、細くて50mm前後の果軸に、薄い殻斗がへその辺りまで大きく裂けたドングリが数個程度結実したものが一般的です。ただ、ときどきスダジイのように太くて長い果軸に、分厚い殻斗をもつドングリが20個ぐらい結実したものを目にすることがあります。高塚山緑地 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] にある個体もその一つで、今年は久しぶりにたくさんのドングリを実らせました(図8-548-1参照)。
図8-548-2に、この個体の果軸をクローズアップしました。長さが100〜150mmもある太い果軸を見ていると、とてもツブラジイのものとは思えません。それに、肉厚な殻斗や部分的とは言え割裂しない筒状の殻斗が見られるのも、ツブラジイよりむしろスダジイによく見られる特徴です。
但し、堅果については、小さくて丸い形状やへそが胴直径に比べてかなり小さい(*)こと等、典型的なツブラジイの特徴を有しています(図8-548-3参照)。
* セクション20-4を参照願います。
スダジイとツブラジイは交雑している個体が多く、葉や樹皮の特徴を見ただけでは容易に判別できない個体が数多く存在します。この個体も交雑種と思われますが、私は両者を判別するのに、葉や樹皮ではなく堅果の形態(へそ)を最も重視しているので、このHPではこの個体をスダジイではなく、ツブラジイとします。