雑記540. 2024. 9. 6
“ 一つになった首 ”
ほぼ毎年のように多果を結実する摂津伊丹廃寺跡 [ 所在地 : 兵庫県伊丹市 ] のアベマキから、今年も多果を採集しました(*)
* 同地のアベマキで多果を採集した直近の事例については、雑記474、雑記513を参照願います。
図8-540-1の2つの2果は、合着した2つの堅果を1つの殻斗がまとめて包含したものです。この形態の多果は、これまでにもこの個体で数多く採集してきました。
また、図8-540-2の3つの2果は、2つの堅果を1つの殻斗が分離して包含したものです。この写真では分かりにくいのですが、殻斗の内側にある2つの離層の痕跡の間にできた仕切りによって、2つの堅果は分離独立しています。多果を結実しやすいこの個体でもこのタイプのものは珍しく、昨年までに採集したのは僅か2つのみでしたが、今年は3つも採集することができました。
そして、これら5つの2果に加えて今年はもう1つ、この個体では見たことのないタイプの多果を採集しました(図8-540-3参照)。
図8-540-3の左側のドングリは単果のように見えますが、鱗片に覆われた殻斗と堅果の隙間を覗き込むと、2つの堅果が合着してできたクビレのようなものがあります(図8-540-3 右図参照)。さらに、首は1つですが、その周辺にある白い微毛の付着している範囲が、この個体における単果の倍ぐらいあります。以上の点から、このドングリは2果と判断して間違いないでしょう。これまでに多くの多果を観察してきた私でも、首が完全に1つになった2果を見たのはこれが初めてです(***)。
*** 雑記169の2果の堅果も合着して首まで一体化していますが、首が2つあることは目視で判別できます。