雑記537. 2024. 7.23
“ タイサンボクの実のような果軸 ”
季節外れに開花する樹種の中で、花序の形態のバリエーションがもっとも豊かなのはコナラです。ただ、コナラほどではありませんが、ウバメガシでもしばしばユニークな形態の花序を目にすることがあります。先日、港湾緑地南公園 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] にある季節外れに開花するウバメガシで、ちょっと変わった花序を見つけました。
図8-537-1は、同園にあるウバメガシで季節外れに開花した典型的な花序の例です。4月に開花した一般的なウバメガシの花序に比べると、季節外れの8月に開花した花序は長い果軸にたくさんの幼果が着くのが特徴ですが、軸径は2mm前後と細く、幼果は軸全体に散在しています(図8-537-2参照)。
ところが、今年は同じ個体に軸径が5mm前後と非常に太く、しかもその表面を埋め尽くすようにたくさんの幼果が密集した果軸が、樹上の至るところに認められました(図8-537-3参照)。
太い果軸に幼果が密集した姿はとてもユニークで、中には太くて長い果軸の先端から2/3ぐらいまでを歪な形の扁平な幼果が埋め尽くしたものもあって、その姿は、さながらタイサンボクの実のようでした(図8-537-4参照)。