雑記534. 2024. 6. 5
“ 雌雄が混在したクヌギの花軸 ”

 4月下旬に、西神中央公園 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] のクヌギで5個の花が咲いた花軸を見つけました(図8-534-1参照)。通常、クヌギは1本の花軸に1〜2個、多くても3個しか花を咲かせませんので、これはとても珍しい事例(*)です。ところが、それから一月ほど経って再びこの個体を見たら、これとは別にもう一つ5個の花が咲いた花軸が見つかりました。
* 雑記527を参照願います。

 
 この花軸は、樹下からでは手が届かないやや高所にあって、しかも下から見上げた時に周囲の枝葉に隠れてやや見えづらいところにありましたが、邪魔な枝葉をかき分けながらカメラの望遠レンズを通して観察してみると、なんと同じ5個の花でも雌雄の花序が併存していたのです(図8-534-2参照)。
 季節外れに咲いたコナラやナラガシワの花軸や、多果を大量に発現するシラカシの花軸では、雌花軸に雌雄の花序が併存しているケースは珍しくありませんが、クヌギではまず見ることができない代物です。
 この個体の花序は、一般的なものに比べて花軸が極端に長いものが多く、そこにしばしば3個以上の花を咲かせたり、同種では大変珍しい両性形態の花
(**)を咲かせたりする等、これまで珍奇な現象を度々目にしてきましたが、今回見つけた雌雄の花序が併存した花軸はその極めつけと言えるでしょう。
** セクション23の10項を参照願います。

 
 滅多にお目にかかれない花軸なので、いろんな角度から近接撮影したかったのですが、この個体のすぐ傍にあった枯れ枝でこの花軸のある枝を手元まで引き寄せようとしたところ、周囲の枝葉に花軸が軽く接触しただけで2つの雄花序(両性花序)が脱落してしまいました(図8-534-3参照)。

 私は、コナラ属の花軸が誕生した頃に比べてかなり短くなっていることを証明するために、樹種毎に関連するデータを収集しています
(***)が、クヌギに関してはこの個体で目撃してきた一連の特異な花軸が、それを支持する貴重な証拠になるものと考えています。
*** セクション30を参照願います。