雑記533. 2024. 5.29
“ ハナガガシにもありました! ”
 一般にブナ科の樹木の葉は分岐しませんが、構造的に分岐できないわけではありません。その証拠に、シラカシの中には稀に分岐した普通葉を着ける個体があるからです(*)。シラカシ以外の樹種で分岐した葉を目撃したことはありませんでしたが、アカガシ亜属の中でも太古の形質を色濃く残しているシラカシでよく見られるということは、おそらくドングリの樹が誕生した頃には、ブナ科の樹木にも分岐した葉がごく普通に存在したのではないかと思われます。
* セクション21の20項を参照願います。

 
 さて、最近私はドングリの芽生えにチャレンジしており、昨年の秋から今年の春にかけては、ブナ、イヌブナ、クリを除く全ての種類のドングリの芽生えの様子を観察しています。先日、それらの中からハナガガシの芽生えについて紹介
(**)しましたが、その時点ではまだ茎が伸び始めたばかりだったドングリに、なんと二股に分岐した本葉が現れたのです(図8-533-2参照)。
** 雑記531を参照願います。

 
 これまでに、十分な数のハナガガシを観察してきたわけではありませんが、他のブナ科の樹木を見る限り、ハナガガシでも分岐した葉は極めて珍しいものなのかもしれません。今年の春に芽生えたハナガガシのドングリは、他の種類のものといっしょに山中に植樹してきましたが、このドングリについては少し大きめの植木鉢に移して、引き続き自宅で育ててみることにします。